こんにちは、円熟FP事務所  菊地和明です。
ようこそ私のブログに来訪いただき、誠にありがとうございます。

早速ですが、ファイナンシャルプランナー(FP)がサービス提供する一般的なライフプランとは
何かについてお話します。そして最後にまとめとして、私が目指すライフプランについてお話したいと思います。

ライフデザインとは
人生観や価値観に基づく、望ましい人生の送り方をライフデザインといいます。
お客様にとってどのような生き方、暮らし方ができれば安心か、または悔いがないか。それを
確認し表現されたもの、それがライフデザインです。

ライフプランとは
ライフデザインを実現させるために、将来希望される生活、資産形成、健康面を含めた
暮しの希望を生涯にわたって設計し、具体化したものをライフプランといいます。
言わば「人生設計図」です。

キャッシュフロー表とは
ご希望の人生設計図が、資金面から実現可能かシミュレーションしたものがキャッシュフロー表です。人生のご希望(ライフイベント)に基づき、将来の資金収支と金融資産残高を試算致します。将来のお金の出入りを可視化することで、お客様のご希望が実現することを確認するものになります。

ご希望の人生を送るための設計図をつくることは大切な作業です。ライフプランをつくることは、折々の人生ステージで、より良い選択をするための人生の羅針盤となります。当事務所が目指す
ものはお客様の資産の最大化ではなく、人生の「羅針盤」となり得るライフプランです。
それでは、作成過程の概要をご案内します。

1.ライフプランの概要

1)現状の家計の把握
 給与等収入、基本生活費(食費・光熱経費等)、お子様の教育費、住宅ローン、レジャー費
等の支出を把握し年間収支表を作成します。

2)教育費の把握
 人生三大支出の一つである教育費を、現状及びお客様の教育方針に基づいて把握します。
この事例では、長男様、長女様共に中学校まで公立、高校から大学までは私立(長男様は理系、
長女様は文系)に進学という前提です。

3)住宅ローン返済の把握
 同じく三大支出の一つである住宅ローン返済額を把握すると共に、余裕資金による繰上返済をシミュレーションして利息軽減効果を把握します。本事例では、借入金3900万円、35年返済、
変動金利を選択して、2回の繰上返済総額1703万円による利息削減効果は、281万円という
結果が得られました。

4)今後の積立運用
 手持資金、将来の余裕資金の運用から得られる利益をシミュレーションします。
資金運用の基本である長期の積立による複利効果を確認できます。

5)ライフイベントの確認
 ご家族のライフデザインに基づくイベントを確認して、各年の貯蓄残高がどのように
推移していくのか、ライフデザインの概要をご覧頂けます。

6)キャッシュフロー表で資金推移の確認
 将来にわたる資金収支、貯蓄残高推移を60年間確認することができます。
「5.ライフイベントの確認」の詳細を確認し資金推移の全体感を把握して頂けます。

7)万が一のシミュレーション
 ライフプランでは、ご家族の健康リスクも考慮されていなければなりません。特に世帯主に
万が一のことがあった場合に備えることが大事です。現時点で予想されるご遺族の将来の必要になるお金を試算します。即ち、奥様の老後まで安心できる資金総額と、お子様が自立されるまでの資金総額を把握して、今後の予想収入総額では不足する資金を生命保険で保障を得られるように
準備しなければなりません。そのためのシミュレーションを行います。

2.私が目指すライフプラニング

まとめになりますが、私が目指すライフプラニングを申し述べます。
冒頭に「当事務所が目指すものはお客様の資産の最大化ではなく、人生の『羅針盤』となり得る
ライフプラン」と偉そうなことをお話ししました。

よく見られるライフプランは、相談者(多くは世帯主)がご本人とご家族の人生イベントを
織込んだものが作成されます。最終的には、相談者が99歳になる時点で葬式代を残せるような
キャッシュフロー表を見るケースが多いです。そして、リスク要因の「世帯主に万が一のことが
あった場合」に備えて生命保険僚や医療保険料を支出に算入します。

しかし、リスク要因はそれだけでしょうか。例えば、相談者のご両親の健康問題、認知症等に
伴う介護問題です。場合によっては成年後見人に対する報酬等を相談者のライフプランに織込む必要があります。

ご両親が大きな財産をお持ちの場合、それを早く贈与を受けた方が生前対策として有効である
ことがあります。ご承知のように相続発生時に相続税が発生しますが、暦年贈与をした場合
相続時に過去の贈与額が相続財産に加算されます。いわゆる贈与の持戻しですが、この対象期間が
3年間から7年間に延長されました。相談者が相続人として早い段階から暦年贈与を受け、結果と
して2世代トータルで有利な資産形成を図ることもライフプランには重要です。

両親や兄弟間の仲が悪く疎遠になっている状況にあって、どういう遺産分割になるのか、どういう
対策が必要になるのか分からない、と悩んでおられる方のご相談にも応じます。
相談者のライフプランに大きな影響を与えるからです。

又、ご両親が事業をされている環境にあって、相談者が事業承継者として事業資産を相続すると
法定相続を上回る財産を相続することになってしまう場合、相談者はその「法定相続を上回る
財産」の一部を、他の相続人に対し遺留分として現金精算する必要が生じることがあります。
この資金準備も当然ライフプランに織込んでおく必要があります。

以上、いくつかの事例を見ても、相談者だけの家庭環境を考慮した一代限りのライフプランは
人生の「羅針盤」にはなり得ないケースがあります。

私はライフプラニングの相談に預かる場合、相談者のご両親やご親族の家庭環境にまでお聴き
することにしています。相談者が想定されていない様々なリスクに気づいてもらうことも、
FPの重要な役割、責務だと考えています。

相談内容に応じて相続(争続)対策、認知症対策、財産管理対策等のために専門家(税理士、司法書士、家族信託サービス事業者、行政書士等)と連携して、ワンストップで重層的なライフプラニングを
心掛けて参ります。